第111回コラム 「特許活用例のご紹介」
今回は、都営新宿線森下駅より徒歩約2分に鎮座する深川神明宮(フカガワシンメイグウ)(江東区森下1−3−17)をご紹介します。同社は、約400年前、葦が繁る住人もいないところに、深川八郎右衛門が一族を引き連れてこの地に移り住み、土地の開拓に着手し、祠を建てて日頃、崇敬する伊勢神宮の対人様の分霊をお祀りし、開拓民の幸せと開拓地の発展を祈念したのが始まりとのこと。




(筆者撮影)
墨田区吾妻橋付近を歩いていたところ、下の写真のタンクローリーが目に留まりました。もちろん、車体に記載されていた「漏液防止特許取得」に反応しました。

(筆者撮影)
そこで、平野石油を頼りに特許調査をしてみました。
出願人「平野石油」で調査したところ、4件の特許、及び1件の特許出願がヒットしました。
漏液防止に関する特許は、第4060772号と推定されます。
該特許発明の課題は、複数の液体タンクを有するタンクローリーに混液防止装置を設けて液体(例えば軽油)中に含有される他の液体の混入率(例えば、クマリン含有量)を極力低減させることです。
解決手段は、下図に示すように、大気取入口30を設け、該大気取入口30の下流側の管路33,34に順次第1逆止弁31a、二方向切換弁32及び第2逆止弁31bを配設して大気取入機構を構成し、該大気取入機構を液体タンク1からの液体の供給主管路9の上流端に接続して大気取入口30から取入れた空気を液体タンク1の前記供給主管路9に供給して全管路内の残液を排出する構造です。



複数の液体が混入した場合、自動車の排気ガスのPM濃度が上昇する等、環境基準に適合しない状態が発生しますので、クマリン含有量が2%までと基準が決められています。
本発明は、タンクローリー車において、簡単な機構により、かつ、既設のポンプ等の液圧機器を用いて容易、かつ、確実に油中のクマリン含有量を規定以下の値に低減することができる混液防止方法です。
同社の狙いを推察すると、他社牽制(模倣防止)、技術力PR等々考えられますが、車体の側面に表示していることを考慮すると、PRが主目的であると思われます。機会があれば、タンクローリーへの特許表示の影響を伺いたいと思います。
<参考>
平野石油(株)は、下記概要の会社です。
会社設立: 昭和8年4月1日
所在地: 〒111-0052 東京都台東区柳橋2丁目19番6号柳橋ファーストビル9F
従業員数: 209名
事業内容: 石油製品販売、石油の卸販売、石油陸上運送、建材、土木資材の販売、建機油圧ホース出張修理、燃料備蓄配送サービス、燃料タンク新設、燃料タンクメンテナンス、燃料タンク清掃、燃料入替、燃料成分分析、負荷試験、産業廃棄物取集(廃油・汚泥)
以上