第115回コラム 「EP(欧州特許)とUP(欧州統一特許)のどちらを選びますか?」
今回は、都営新宿線「浜町駅」から徒歩約2分に鎮座する明治座稲荷神社(メイジザイナリジンジャ)(中央区日本橋浜町2-31-1)をご紹介します。
同社は、明治6年頃に劇場「喜昇座」の創設とともに、笠間稲荷神社東京別社から分霊を勧請して祀られたとされる小祠で、出世や仕事運にご利益があると伝えられています。訪れた際、丁度賽銭箱等の整理を行っているところでした。




(筆者撮影)
欧州統一特許制度は、2023年6月1日から施行され、早2年が経過しました。
おさらいの意味で、従来の欧州特許制度(EP)と欧州統一特許制度(UP)の概要を【表1】 にまとめてみました。
【表1】
| 項目 | EP | UP |
|---|---|---|
| 出願・審査機関 | 欧州特許庁(EPO) | 同左 |
| 特許付与後の効力範囲 | 指定国ごとにバリデーション(国別特許) | 参加国に一括効力(単一効特許) |
| 対象国数 | EPC加盟国(最大39か国) | UPC協定批准国(開始時点で17か国、将来的に最大25か国) |
| 主要対象国 | イギリス・スペイン・ポーランド等 | ドイツ・フランス・イタリア等 |
| 翻訳要件 | 各国ごとに翻訳提出が必要 | 一部言語への翻訳のみ(移行期間中は追加要件あり) |
| 年金(維持費)支払い | 各国に個別に支払い | EPOに一括支払い |
| 訴訟対応 | 各国の裁判所で個別に対応 | 統一特許裁判所(UPC)で一括対応 |
| 権利の分割性 | 国別に分割された特許権(バンドル特許) | 単一・不可分の特許権 |
| 異議申立て期間 | 特許付与後9か月間 | 同左 |
| 選択のタイミング | 特許付与後に各国でバリデーション | 特許付与後1か月以内に単一効申請 |
EPで特許化するか、UPで特許化するか悩ましいところです。
そこで弊職の考えを下記致します。
UP特許の無効審判は、統一特許裁判所(UPC)の中央部(主にパリ、ミュンヘン、リスボン)で行われ、UPC参加国すべてに対して一括して特許の有効性を争います。
したがって、特許無効が確定した場合、全てのUPC参加国において効力を失います。
一方、EPにおいては、無効審判は特許権が存する国毎に行う必要があります。
また、維持年金は国数が多くなるほど、UPが低額と言われています。
よって、図1に示すように、重要な特許は、一括して消滅しないようにEPで特許化すべきと考えます。
また、低費用を重要視する場合、UPにて特許化すべきと考えます。
【図1】

EPとUP費用のシミュレーションができるWebサイトを下記致しますのでご活用下さい。
https://unitary-patent-costs.eu/jp/simup
【シミュレーション例】

以上


